「有害物質使用特定施設の廃止」による調査契機

知識
土壌汚染対策法
#法手続き

工場
特定有害物質を取り扱ったことのある工場・事業場については、土壌汚染の可能性が高いと考えられることから、工場・事業場としての管理がなされなくなる時点で土壌汚染状況調査を行うことが土壌汚染対策法で定められています。

 

より具体的にいうと、有害物質使用特定施設の使用の廃止の時点で調査義務が発生します。

有害物質使用特定施設とは

以下の要件をすべて満たす施設が有害物質使用特定施設です。

  • 水濁法第2条第2項に規定する特定施設
  • 意図的に特定有害物質を使用等する

 

該当しない施設の例

特定有害物質を微量含む原材料を用いていても、当該特定有害物質に対し何らの働きかけをしない施設等は有害物質使用特定施設には該当しません。
例えば下記のような場合に該当しません。

  • 六価クロムを微量含む原材料を使用する生コンクリート製造用のバッチャープラント
  • 特定有害物質が含まれる可能性がある廃棄物(廃棄物処理法第2条第1項に規定する廃棄物)を処理するが、特定有害物質に着目してその処理を行うものではない廃棄物処理施設
  • 特定有害物質が含まれる可能性が下水を処理するが、特定有害物質に着目してその処理を行うものではない下水道終末処理施設

 

注意が必要な例

特定有害物質を使用している試験研究機関の研究棟に設置された洗浄施設は、直接に特定有害物質を使用等するものでなありません。
しかし、そういった研究棟で意図的に特定有害物質を使用する場合には「有害物質使用特定施設」に該当することとなる点に注意が必要です。
意図的な使用がある場合には、洗浄施設に係る排水に特定有害物質が含まれ得るということで、このように判断されます。

使用の廃止の時点とは

これは、下記どちらかの時点を指します。
  • 有害物質使用特定施設の使用をやめる時点
  • 有害物質使用特定施設の使用は続けるものの特定有害物質の使用をやめる時点
  使用の廃止の時点においては、下記のうち該当する規定による届出が必要になります。
  • 水濁法第7条
  • 水濁法第10
  • 下水道法(昭和33 年法律第79 号)第12 条の4
  • 下水道法(昭和33 年法律第79 号)第12 条の7
  • その他法令(瀬戸内海環境保全特別措置法など)
  上記の届出をもって、都道府県知事から土地所有者等へ、土壌汚染対策法に基づく下記の通知がされます。

  • 有害物質使用特定施設の使用が廃止された旨
  • 当該施設の種類
  • 設置場所及び廃止年月日
  • 当該施設において使用等されていた特定有害物質の種類
  • 土壌汚染対策法第3条第1項本文の報告を行うべき期限等

 

通知を受けた土地所有者等には、期限までに土壌汚染調査の結果を都道府県知事へ報告する義務が発生します。

 

 

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この記事は 土壌汚染対策法ガイドライン P.20~22 の内容を主としています。