土壌汚染とは

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土壌汚染対策法
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#土壌汚染

2026.09.15 更新

不動産売買、工場の閉鎖・建て替え、環境調査。きっかけは色々ありますが、「土壌汚染」という言葉に初めて向き合う担当者が突き当たる問いは、だいたい同じです。汚染があると何が起きるのか。何をどこまでやらなければならないのか。

その見当がつかないまま調査結果だけを渡されれば、「とんでもないものを引き当てた」「あまり人には言えない話だ」と身構えてしまうのも無理はありません。

ただ、法律の考え方そのものはシンプルで、そこさえ押さえておけば、自分の土地に何が求められるのかはかなり見えてきます。法をベースに土壌汚染とは何か、なぜ問題にされるのか、基準値を超えるとどれくらい危険なのか。そして、汚染が見つかった土地はどうなるのかまで、順に整理します。

土壌汚染とは

土壌汚染の定義

法律上の土壌汚染とは、土壌に含まれる有害物質の濃度が、法令の定める基準値を超えている状態を指します。法令の定義は分析値と基準値の対比だけで組み立てられていて、土の変色や異臭といった感覚的な指標は要件に入っていません。このため、「土壌汚染あり」の判断になった土地でも、見た目に何の異常もないパターンがほとんどです。

原因による分類

法律上の土壌汚染は、原因によって以下の3種類に分類されます。

  • 人為等由来:事業活動、不適切な廃棄物の埋め立て、薬品や排水の漏えいなど人の活動による汚染
  • 自然由来:地層の成り立ちにより元々その土壌に有害物質が含まれていたことによる汚染
  • 水面埋立て土砂由来:海や河川などの埋め立てに用いられた土砂に有害物質が含まれていたことによる汚染

意外に知られていないのは、自然由来の汚染も法の対象になることです(2026年9月時点の法令による)。「健康被害を防ぐ」という目的から見れば、汚染の由来で区別する理由がないためです。ではなぜ分けるのかというと、調査方法や区域指定の区分を分け、リスクとコストのバランスを取るためです。

出典:環境省「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第3.1版)」第1章 土壌汚染対策法の概要2022年、P2,13 ※自然由来汚染を法の対象とする経緯(P2)、基準不適合土壌の判定(P13)

出典:「土壌汚染対策法」(e-Gov法令検索)

土壌汚染はなぜ問題なのか

土壌汚染対策法は、その目的を次のように定めています。

土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護すること(法第1条)

条文が掲げる目的は、国民の健康の保護です。土壌そのものの状態を守ることではありません。つまり汚染の存在ではなく、汚染が人に届く経路があることが問題になるのです。この構造が、基準値の決め方にも、汚染が見つかったあとの土地の扱いにも一貫して現れます。

汚染が人に届く経路

法が想定する経路は二つです。一つは、汚染された土壌を口から取り込む直接摂取の経路です。もう一つは、汚染された土壌から特定有害物質が溶け出した地下水を飲用することで、特定有害物質を体内に取り込む地下水経由経路です。

この二つが、汚染の見つかった土地の扱いを分けます。基準を超えていて、かつ人が有害物質を取り込むおそれがある土地だけが、措置を求められる区域になります。おそれの有無は、経路ごとに判定します。地下水経由で見るのは周辺で地下水が飲用されているかどうか、直接摂取で見るのは人がその土地に立ち入れるかどうかです。

工場用地におけるポイント

工場用地で押さえておきたいのが、この立入りの判定です。環境省のガイドラインでは、関係者以外の立入りを制限している工場・事業場の敷地は「人が立ち入ることができる状態」に当たらないとされています。入構管理をしている稼働中の工場は、誰でも入れる空き地とまったく同じ汚染状態であっても、区域の扱いが変わりうるわけです。

出典:「土壌汚染対策法」第1条・第3条・第4条・第6条(e-Gov法令検索)

出典:環境省「土壌汚染対策法ガイドライン(改訂第3.1版)」第1章 土壌汚染対策法の概要2022年、P18 ※「人が立ち入ることができる状態」の解釈

出典:環境省「土壌汚染対策法ガイドライン(改訂第3.1版)」Appendix-2 地下水の飲用利用等の判断基準2022年、P1 ※地下水経由の「飲用利用」の判定

基準値を超えたら危険なのか

基準値は、その濃度の土壌や地下水を生涯にわたって摂取し続けても、健康へのリスクが十分小さいとされる水準として引かれた線です。「基準値を超えたら危険な土地」と受け取られがちですが、成り立ちを知ると見え方が変わります。

例)土壌溶出量基準の考え方

土壌溶出量基準のもとになっているのは、水質・地下水の環境基準の考え方です。想定されているのは、その地下水を70年間、1日2L飲み続けるという状況。動物実験や疫学調査から求めた「毎日摂取しても有害な影響が生じない量」(耐容一日摂取量)を、体重50kgの人が飲む水の濃度に換算します。同じ物質は飲み水以外の経路からも入ってくるので、換算に使うのは、飲用水に割り当てた分(通常は1割)だけです。

一部の例外

この手順を踏めない物質もあります。ベンゼンやトリクロロエチレンのように、毒性の閾値がないとされる発がん性物質です。「有害な影響が生じない量」そのものを決められないこれらの物質では、その地下水を一生涯飲み続けたときに発がんリスクが10万分の1だけ増える濃度を、基準値としています。工場で問題になりやすい第一種特定有害物質には、この閾値のない物質が多く含まれます。同じ「基準値超過」でも、実は基準の意味が違うものもあるのです。

いずれも長期間の摂取を前提に算定された値ですから、一時的な超過が直ちに健康被害につながるわけではありません。基準値は、長期のリスク管理のために引かれた線です。この前提を頭に置いておけば、調査結果を正しく読めます。

出典:環境省「指定基準値の設定の考え方」(土壌環境施策に関するあり方懇談会 第6回 資料2)2008 ※土壌溶出量基準の算定の考え方(70年間・1日2L・体重50kg・寄与率10%)、閾値のない発がん性物質は生涯リスク10万分の1で設定

出典:国立環境研究所「環境基準等の設定に関する資料集(水質・地下水)」 ※物質ごとの基準値の設定根拠(寄与率・体重・飲用水量の個別の値)

出典:環境省「土壌汚染対策法ガイドライン(改訂第3.1版)」第1章 土壌汚染対策法の概要2022年、P13 ※土壌溶出量基準は土壌環境基準(溶出量)と同じ数値

土壌汚染が見つかった土地はどうなるのか

法に基づく調査で基準に適合しない土壌が見つかると、その土地は都道府県知事によって区域指定されます。区域は二つに分かれます。人が有害物質を取り込むおそれがある土地は「要措置区域」に指定され、摂取経路を断つ措置が期限までに求められます。おそれのない土地は「形質変更時要届出区域」に指定され、措置までは求められません。課されるのは、工事の際の届出など、汚染を広げないための管理です。

汚染あり=措置が必要 ではない

基準超過という数字だけでは、その土地に何が必要かはまだ決まりません。決めるのは、人がその物質を取り込む経路があるかどうかです。

たとえば溶出量基準を超えていても、周辺に飲用井戸がなく、現にその地下水を誰も飲んでいなければ、基準値が前提としている摂取は起こりません。この場合に指定されるのは、措置までは求めず、工事の際の届出などの管理を課す形質変更時要届出区域です。それでも指定なしにはならないのは、「汚染を広げない」という観点で、土地を管理することが求められるからです。

要措置区域の指定割合

人への摂取経路があり、汚染の除去などの措置まで求められる要措置区域は、実は区域指定を受けた土地のうち、全国で約15〜18%にとどまります。

人の健康を保護する目的で考えると、汚染があっても措置が必要になる土地は2割に届かないのです。「土壌汚染」という言葉から連想する深刻さと比べると、意外に少ないと思われるのではないでしょうか。

指定の判定フローや、要措置区域で実際に求められる措置の内容は要措置区域とは何かで詳しく解説しています。

 

意外かもしれませんが、汚染が判明している8割以上の土地に、法律は除去を求めていないのです。土壌汚染がある土地は、汚染の除去が必要な土地ではなく、汚染の管理を要する土地です。 対応を考えるときの出発点はここになります。

出典:「土壌汚染対策法」第6条・第11条(e-Gov法令検索)

出典:東京都「東京都における土壌汚染対策に関する取組状況」(中央環境審議会土壌農薬部会 資料7)2026年、P7 ※要措置区域の割合

まとめ:この記事のポイント

  • 土壌汚染のありなし判定は、法令上は分析値と基準値の比較だけで組み立てられ、変色や異臭といった感覚的な指標は要件に入りません
  • 自然由来の汚染も法の対象です
  • 土壌汚染対策法が守るのは国民の健康です。だから直接摂取と地下水経由という二つの経路があるかどうかが、あらゆる判断の軸になります
  • 基準値は、人の生涯という長期にわたるリスク管理のための線です。瞬間の危険度を測る物差しとは役割が違います
  • 区域指定された土地のうち要措置区域は約15〜18%。多くの土地に法律が求めているのは管理です

 

土壌汚染への対応で最初に問うべきは、その土地をどうしていきたいかです。売買なのか、継続利用なのかなど、どうするのかによって、期限や目標が定まりやすくなります。

土壌汚染の専門家としてお伝えしたいのは、土壌汚染は経営判断として正しく評価すべきリスクの一つであって、過剰に恐れるべきものではないということです。汚染について正しい知識を持ち、適切に向き合うことが、経営の確かな意思決定につながると、広く知られてほしいと考えています。

 

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エコサイクルでは、それぞれの案件ごとに、土地取引、事業活動、形質変更時等の契機に応じ、いつから、誰が、何を、どこまで行うのかを明確にして汚染対応のコンサルティングからお手伝いさせていただいています。

 

エコサイクルのコンサルティング業務については下記をご参照ください。