汚染の特性
VOC(揮発性有機化合物)や重金属類による汚染は、様々な業種で起こり得ます。一方、半減期が短い(生分解され易い)農薬類の汚染は、あまり見られません。
特定有害物質の特性
VOCの特性
VOCは常温で液体であり、水より重いという物性があるため、地中深くに浸透しやすく、地下水の流れに乗って拡散し汚染が広域化しやすい特徴があります。
一方、分解可能な物質が多く、原位置浄化・対策で対応しやすいため、操業中工場等でも汚染の除去を目指した対策を進められる場合が多いという特徴もあります。
重金属類の特性
重金属類はVOCとは物性が大きく異なり、分解できない物質が多いため、原位置工法では汚染の除去ができないケースがあります。しかし、土壌に吸着されやすいという物性があるため、比較的浅い土壌に分布し、汚染が広域化しづらい特徴があります。
参考:地下水汚染が到達すると考えられる距離の一般値
特定有害物質の種類 | 一般値(m) |
---|---|
第一種特定有害物質(VOC) | 概ね 1,000 |
六価クロム | 概ね 500 |
砒素、ふっ素及びほう素 | 概ね 250 |
シアン、カドミウム、鉛、水銀、セレン、第三種特定有害物質(農薬類) | 概ね 80 |
複合汚染
工場等でもみられますが、特に廃棄物処分場や最終処分場では、複数種類の汚染が混在する複合汚染であるケースが多くみられます。このケースは対策の難易度が上がるため、より高額な費用となる場合が多くなります。
特定有害物質による健康被害の症状例
土壌に含まれる有害物質は、手についた土壌や砂ぼこりが口から入るような直接摂取、汚染された地下水を飲用する地下水経由の摂取等により、人体へ取り込まれることで健康被害が生じます。
有害物質による健康被害には、長期間又は繰り返し摂取し続けた場合に生じる慢性症状と、一度に又は短期間に多量摂取した時に生じる急性症状があります。 具体的には下記のような症状とされます。
第一種特定有害物質 (VOC/揮発性有機化合物) |
急性症状 | 頭痛、めまい、眠気、吐き気、痺れ等 |
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慢性症状 | 発がん性、腎臓障害等 | |
第二種特定有害物質 (重金属等) |
急性症状 | 頭痛、めまい、皮膚発疹、麻痺、呼吸困難等 |
慢性症状 | 発がん性、中枢神経障害、胃腸障害、腎臓障害等 | |
第三種特定有害物質 (農薬等) |
急性症状 | 眼の刺激、痙攣、呼吸困難、意識喪失等 |
慢性症状 | 視力低下、皮膚障害、痺れ、肝臓障害、浮腫等 |