届出が必要な「形質変更」の要件

土壌汚染対策法
#法手続き

土壌汚染対策法では、一定規模以上の土地の形質の変更をしようとする場合には、形質変更着手日の30日前までに、形質の変更をしようとする土地の所在地等を知事に届け出なければなりません(法第4条第1項)。

届出を受けた知事は、当該土地において土壌汚染のおそれがあると判断する場合には、土地所有者等に対し、土壌汚染状況調査の実施及びその結果の報告を命じることができます(法第4条第2項)。

 

このため、法的な調査契機のひとつに「一定規模以上の土地の形質変更」が挙げられています。

では、届出の対象となる「土地の形質の変更」とは具体的にどんな行為を指すのでしょうか?

形質変更とは

「土地の形質の変更」とは、土地の形状を変更する行為全般を指し、下記の面積要件と深度要件の両方を満たす場合に届出が義務付けられます。 目安としては、面積要件を満たす規模の計画では建屋解体工事は該当しませんが、基礎解体工事はほぼ100%該当すると言えます。  

 

自治体によっては要件に差異がある場合もありますので、各自治体のホームページ等で一度ご確認いただくことをお勧めします。

面積要件

  • 掘削や盛土の別を問わず、土地の形状を変更する面積の合計が3,000㎡を超える場合
  • 下記①~③に該当する土地で、土地の形状を変更する面積の合計が900㎡を超える場合
  1. 現に有害物質使用特定施設が設置されている工場又は事業場の敷地
  2. 有害物質使用特定施設が廃止された工場又は事業場の敷地であってまだ調査結果の報告が行われていない土地
  3. 法第3条第1項ただし書の規定に基づく都道府県知事の確認を受けようとしているがまだ受けられていない土地


また、この届出の趣旨が「土地の形質変更によって汚染の拡散が起きないよう、調査を行わせ、必要に応じて区域指定して、土地の形質変更の規制等適切な管理を行わせること」であるため、土地の形質変更の内容が盛土のみである場合には、汚染の拡散が起きることはないと考えられるので届出は不要となります。

深度要件

  • 土地の形質の変更に係る部分の深さが50cm以上である場合

これは、土地の形質の変更に係る部分の中に1ヶ所でも地表から深さ50cm以上掘削する場所があれば、該当します。また「土地の形質の変更に係る部分の深さ」について、深さの基準は土壌表面ではなく地盤面であるため、下記のような場合には該当します。
(例)道路が60cmの路盤(構造物)で覆われている場合において、その路盤をはがす行為
 → 地表から深さ50cm以上まで掘削することになるので、該当します。

届出の対象外となる例

次の1.~7.は基本的には届出対象外となりますが、最終判断は自治体により異なる場合もありますので、事前にご確認いただくことをお勧めします。

  1. 形質変更の内容が盛土のみである場合
  2. 以下の①~③の全てに該当する場合(土壌の飛散・流出を防止するための対策等が必要となるので注意が必要です)
    ① 形質変更の範囲外へ土壌を搬出しない
    ② 形質変更に伴い、周辺への土壌の飛散・流出が生じない
    ③ 形質変更が深さ50cm未満
  3. 農業を営むために通常行われる行為で、形質変更の範囲外へ土壌を搬出しないもの
  4. 林業の用に供する作業路網の整備で、形質変更の範囲外へ土壌を搬出しないもの
  5. 鉱山関係の土地で行われる土地の形質変更
  6. 都道府県知事が法に準じた方法で調査し、「汚染のおそれがない」または「全ての特定有害物質について基準適合する」と認めている土地での形質変更
  7. 非常災害のために必要な応急措置

 

②の具体例
  • 場内使用の重機・車両のタイヤ、車体等に付着した土壌を形質変更範囲外へ出さない対策がなされている(土壌の洗浄水等は汚水処理施設を設置して適切に処理する)
  • 掘削した土壌を形質変更区域内に一旦仮置きする場合には、土壌の飛散・流出を防止するための措置が講じられている
  • 掘削作業中に発生する粉塵の状況を把握するため、必要に応じて粉塵測定を行うとし、良好な周辺環境の確保に配慮されている

 

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 エコサイクルでは、それぞれの案件ごとに、土地取引、事業活動、形質変更時等の契機に応じ、いつから、誰が、何を、どこまで行うのかを明確にして汚染対応のコンサルティングからお手伝いさせていただいています。

 

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