要措置区域とは何か?
要措置区域とは、土壌汚染対策法(以下、土対法)に基づいて指定される区域の一つです。指定されると、土地の形質変更が原則禁止となるほか、汚染除去等計画の提出も義務付けられます。所有地や取引対象の土地がこの区域に指定されると、土地の利用や取引に大きな制約が生じるため、特に注意が必要な区域です。
この記事では以下の内容を解説します。
- 要措置区域の定義と、指定される条件
- 要措置区域と形質変更時要届出区域の分かれ目
- 指定された場合に制限される行為と、土地所有者等に求められる義務
- 指定解除までの流れ

要措置区域の定義と法的根拠
土対法上、要措置区域は「土壌中の特定有害物質が人体に入る経路(摂取経路)が存在し、人に健康被害が生じるおそれがある」と都道府県知事等が認めた土地について指定される区域です(法第6条)。
土対法が定める指定区域には、要措置区域のほかに「形質変更時要届出区域」という種類もあります。土壌汚染状況調査の結果、土地の汚染状態が「基準に適合しない(基準不適合)」と判明した場合、都道府県知事等はその土地を要措置区域か形質変更時要届出区域のどちらかに指定します(法第6条、法第11条)。
出典:環境省、(公財)日本環境協会「土壌汚染対策法のしくみ」2024年、P9
どんな場合に要措置区域に指定されるのか?
要措置区域に指定されるかどうかは、土地の汚染状態が「基準不適合」であることを前提に、特定有害物質の「摂取経路」があるかどうかで決まります。
基準不適合とは何か?
基準不適合とは、土壌汚染状況調査の結果、土壌の特定有害物質による汚染状態が基準値を超えている状態を指します。土対法では、特定有害物質(全26物質)について、次の2つの基準が定められています。
- 土壌溶出量基準:
- 土壌含有量基準:
土壌から地下水に溶け出す特定有害物質の量(mg/L)に関する基準。地下水飲用から特定有害物質を摂取するリスクに対応するもので、全26物質に設定されています。
土壌に含まれる特定有害物質の量(mg/kg)に関する基準。汚染土壌が直接口に入ることで特定有害物質を摂取するリスクに対応するもので、全26物質のうち9物質(重金属等)に設定されています。
基準不適合が確認された時点では、要措置区域と形質変更時要届出区域のどちらに指定されるかは未定です。しかし、都道府県知事等によっていずれかの区域指定が行われることは確定します。
出典:環境省「土壌環境施策に関するあり方懇談会(第6回) 資料2 指定基準値の設定の考え方」2008年
摂取経路とは何か?
摂取経路とは、土壌中の特定有害物質が人体に入る経路のことです。土対法では、次の2つの経路が想定されています。
- 地下水等経由の摂取:汚染された土壌から特定有害物質が溶け出した地下水を飲用することで、特定有害物質を体内に取り込む経路
例)汚染された土地の周辺に、飲用に使われている井戸がある場合
- 直接摂取:汚染された土壌を、口から直接取り込む経路
例)砂遊びや屋外で活動をした際に汚染土壌が手に付着し、それを摂取する場合
汚染土壌が飛散し、それを口から取り込む場合
健康被害のおそれの有無を左右するのは、土壌が汚染されていること自体ではなく、特定有害物質が人体に入る摂取経路が存在するかどうかです。基準不適合の土壌があっても、地下水が飲用されておらず、土壌が直接摂取されることもなければ、健康被害が生じるおそれは低いと考えられています。
出典:環境省「土壌環境施策に関するあり方懇談会(第6回) 資料2 指定基準値の設定の考え方」2008年
要措置区域と形質変更時要届出区域の分かれ目
ここまでの内容をまとめると、要措置区域に指定されるかどうかは、次の二段階で決まります。
つまり、基準を超えていること(基準不適合)と、要措置区域に指定されることは、イコールではありません。基準不適合はあくまで区域指定が確定する条件であり、要措置区域になるかどうかは、摂取経路の有無というもう一段階の判定で決まります。
出典:環境省、(公財)日本環境協会「土壌汚染対策法のしくみ」2024年、P12
要措置区域に指定されると、
何が制限され何を求められるのか?
要措置区域に指定されると、土地の形質変更が原則禁止されるとともに、汚染除去等計画の提出、措置の実施が義務付けられます。
形質変更の原則禁止
要措置区域内では、土地の形質変更(掘削や盛土など、土地の形状を変更する行為)が原則として禁止されます(法第9条)。健康被害のおそれがある土地で無秩序に土を動かすと、汚染を拡散させる危険があるためです。
ただし、都道府県知事等の指示を受けて土地所有者等が行う「指示措置」としての形質変更や、非常災害のために必要な応急措置など、例外的に認められる場合もあります。
汚染除去等計画の提出指示
要措置区域に指定されると、都道府県知事等は土地の所有者等に対し、講ずべき汚染の除去等の措置(指示措置)とその理由、実施期限を示したうえで、「汚染除去等計画」の作成・提出を指示します(法第7条)。土地の所有者等は、指示措置、または指示措置と同等以上の効果があると認められる措置の中から、実際に講じる措置(実施措置)を選んで計画に記載します。
ここで重要なのが、土対法においては必ずしも汚染の除去が必要になるわけではない、ということです。土壌汚染対策には、大きく分けて「土壌汚染の除去」と「土壌汚染の管理」の2種類がありますが、基本的には「管理型」の対策しか要求されません。これは、土対法の目的が「国民の健康を保護すること」であり、「汚染をなくすこと」ではないためです。
地下水の摂取などによるリスクに対する汚染の除去などの措置

ただし、乳幼児が利用する砂場など直接摂取のリスクが高い土地など特別な場合は、土対法により土壌汚染の除去が求められます。
なお、土壌汚染が土地の所有者等以外の行為によって生じたことが明らかな場合には、その原因者に対して指示が行われることもあります。
出典:環境省「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂版3.1版) 第5章 汚染の除去等の措置」2022年、P438,439
実施措置を講じない場合の罰則
汚染除去等計画に沿った実施措置が講じられていないと都道府県知事等が認めた場合、その実施を改めて命じることができます(法第7条第8項)。この命令に違反した場合や、形質変更の原則禁止(法第9条)に違反した場合には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則が定められています(法第65条)。
要措置区域は
いつ・どのように指定解除されるのか?
要措置区域の指定は、以下のような流れで解除されます。
- 汚染除去等計画に沿って実施措置を完了する
- 措置が完了したことを都道府県知事等に報告する
- 都道府県知事等が「指定の事由がなくなった」と認めたときに、指定が解除される(法第6条第4項)
なお、要措置区域の指定解除は、講じた措置により2つのパターンに分かれます。わかりやすく表にすると以下のようになります。
| パターン1 | パターン2 | |
|---|---|---|
| 講じた措置 | 土壌汚染の除去 | 封じ込め・盛土等、摂取経路の遮断 |
| 汚染状態 | 基準適合 | 基準不適合が残る |
| 指定区域 | 区域指定の対象から外れる | 要措置区域は解除され、 形質変更時要届出区域に指定し直される ※変更や格下げと表現される場合もある |
出典:環境省、(公財)日本環境協会「土壌汚染対策法のしくみ」2024年、P20
出典:環境省「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂版3.1版) 第5章 汚染の除去等の措置」2022年、P422,423
まとめ
- 要措置区域とは、摂取経路があり人の健康被害が生じるおそれがあるため、対策が必須とされる区域(法第6条)
- 指定は二段階の判定で決まる。基準不適合で区域指定が確定し、摂取経路の有無で要措置区域か形質変更時要届出区域(法第11条)かに分かれる
- 「基準を超えている=要措置区域」ではない
- 指定されると土地の形質変更が原則禁止(法第9条)となり、汚染除去等計画の提出と措置の実施が必要(法第7条)
- 指示措置は「管理型」が基本で、乳幼児が日常的に利用する砂場等の特別な場合を除き、汚染の除去までは求められない
- 実施措置の完了・報告を経て指定解除。摂取経路の遮断のみの場合は、形質変更時要届出区域への切り替えとなる
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています
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土壌汚染調査を実施する際に、要措置区域に指定される可能性や、要措置区域に指定される場合の内容、スケジュール等を正しく押さえれば、対応の見通しは立てやすくなります。具体的な進め方については、エコサイクル株式会社のコンサルティングサービスもご参考ください。