EDC-M

EDC-Mとは

Electron Donor Compound – Metal の頭文字を取って名付けられています。

EDC-Mは、土壌・地下水中に生息する微生物を活性化し、その力で六価クロムなどの重金属を還元不溶化するための栄養源です。微生物にとって必要な栄養素をバランスよくトータルに含みます。EDC-Mを水に溶かして土壌に注入することで、自然の自浄作用が加速されます。六価クロム、鉛、カドミウム、砒素、セレンなど様々な重金属に対応します。

EDC-Mによる不溶化対策の特徴

短工期 EDC-Mは水に溶解し易く、土壌・地下水中にスピーディに拡散します。
また、分解し易い性質のため、微生物が嫌気性雰囲気を速く形成し、短期間で汚染を分解・除去できます。
高濃度汚染
も対応
EDC-Mは、例えば六価クロム数十mg/Lの高濃度汚染に生息する微生物も活性化できます。
高い安全性 EDC-M原料は食品材料です。EDC-Mの減少により微生物も減少し、最後はEDC-M自身も分解して残りません(生分解性試験確認済)。
またEDC-Mの拡散・到達状況はTOC等(全有機炭素)を測定することで監視し、バイオ不溶化実施期間中の周辺への影響をコントロールしながら対策を行うことが可能です。
低コスト 掘削除去に比べ1/3程度の低コストです。
簡易な設備
で可能
工場・店舗操業中でも施工が可能です。

【参考】六価クロムと三価クロムの違い

  • 六価クロムは、殆どが人工的に生成されて発生するものです。猛毒物質で水溶性であり、地下水にのって広がる心配があります。
  • 一方、三価クロムは、無毒かつ非水溶性で化学的にも安定しています。また人体にとって不可欠な成分であり、サプリメントにも使われています。欠乏した場合には糖尿病の一因となります。
  • 三価クロムが、酸化反応によって自然に六価クロムになることはほとんどありません。
  • 自然界に分布するクロムはほとんど三価クロムの形で安定して存在しています。

【参考】六価クロムを還元する代表的な微生物

地下水及び土壌の中に生息する多くの微生物は、自らにとって有害な物質を無害な物質に変換する能力を持ちます。六価クロムの場合、少なくとも4種類の微生物グループが有害な六価クロムを無害な三価クロムに還元します。

例)
  • Pseudomonas ambigua, Microbacterium
    (好気状態で酵素によりCr6+をCr3+に還元)
  • Pseudomonas sp., Bacillus subtilis
    (嫌気状態でCr6+を最終電子受容体として利用しCr6+をCr3+に還元)

安全性

EDC-Mは食品材料で作られており、安全です。最終的には浄化剤自身も分解して残りません。

EDC-Mは土壌中の微生物によって最終的に大部分が水・二酸化炭素に分解され残りません。浄化剤の使用後、土壌と地下水に悪い影響を残さず汚染前の自然な状態に戻すことは大切なことです。

生分解性試験結果

EDC-M生分解性試験結果 概要版

浄化剤の拡散のコントロールについて

  • 現場データと事前の現地浄化テストのデータを元に浄化剤の拡散範囲を設計し、注入量や注入場所を決定します。
  • 浄化剤の拡散・到達状況はTOC(全有機炭素量)、COD(化学的酸素要求量)等を観測することで把握します。
  • 境界域で観測し、必要に応じて揚水処理を行います。
EDCの拡散について

臭気について

嫌気性微生物によるバイオレメディエーションを行う場合は、一般的な発酵プロセスと同様の反応により腐敗臭が発生します。しかし、一般的な飽和層(地下水位以深の層)対策の場合、地表において臭気が感知されることはなく、施工後もとの土壌環境に戻るにつれ、臭気物質は酸化されなくなります。

採用事例