バイオレメディエーション

汚染された土壌・地下水は、百年単位の時間をかければ自然界に棲む微生物によって有害物質が分解され浄化されていきます。バイオレメディエーションはこの自浄作用を加速させる手法です。
自然が持つ治癒力を活かす、環境にやさしい方法です。

主にVOC(揮発性有機化合物)等の場合です。

対象物質

VOC(揮発性有機化合物)類 テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロエチレン、 ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロエチレン、クロロベンゼン 等
重金属類 シアン、六価クロム、鉛、ヒ素、カドミウム、セレン、銅、コバルト、亜鉛、ニッケル 等
その他 石油関連物質(軽質油等)、農薬類、1,4-ジオキサン 等

…重金属類は「嫌気バイオ不溶化」になります

原理

バイオレメディエーションは微生物の力で有害物質を分解し、汚染された土壌や地下水を浄化する工法です。栄養源を注入してその場にいる微生物の力で浄化する方法と、有害物質の分解に有効な微生物そのものを注入してその力で浄化する方法とで名称が分かれます。

バイオスティミュレーション

バイオスティミュレーションは、既に土壌中に生息している有用微生物に栄養を与えて活性化させ、有害物質分解を促進し浄化する方法です。一般的にバイオレメディエーションとして現在使われている方法です。

バイオオーギュメンテーション

バイオオーギュメンテーションは、汚染サイトに有用微生物を注入して浄化を行う方法です。

嫌気バイオと好気バイオ

バイオレメディエーションの主役である微生物には、酸素が嫌いな(増殖に酸素を必要としない)嫌気性微生物と、酸素が好きな(増殖に酸素を必要とする)好気性微生物の2種類がいて、分解できる汚染物質も、分解のメカニズムも異なります。

嫌気性微⽣物

  • 酸素が嫌い
  • 増殖に酸素を必要としない
  • 発酵や特殊⽤途で利⽤(ビフィズス菌など)

好気性微⽣物

  • 酸素が好き
  • 増殖に酸素を必要とする
  • 下⽔処理などで利⽤

バイオレメディエーションは、有害物質の分解に有効な微生物の種類によって「嫌気バイオ」と「好気バイオ」に分かれます。

もっと詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

好気バイオ

好気バイオ浄化

施工方法

バイオレメディエーションは、浄化剤を水に溶かし井戸から注入することで、土壌や地下水中に浄化剤を拡散させ、微生物を活性化させます。注入の方法は色々ありますが、どんな現場にも対応するため、エコサイクルではダブルパッカー注入を多く採用しています。

ダブルパッカー注入

ダブルパッカー注入とは、ボーリング機で地面に孔を掘り、そこに加圧注入用の二重管を設置し、深度毎に圧力をかけて浄化剤を注入する方法です。

加圧注入により透水性の低い粘性土に対応できること、深度毎に注入が可能で液が浸透しにくく汚染がたまって濃度が高くなりがちな粘性土の深度を狙って注入が可能なことから、粘性土層がある現場においても有効な注入方法です。


バイオレメディエーション適用までの一般的な流れ

適用される浄化剤等により異なりますので都度ご相談ください。

メリット・デメリット

メリット

  • 掘削除去に比べて1/2~1/3程度の低コストです。
  • 操業中工場等、建物が残っている状態でも施工可能です。
  • 稼働中工場での適用の場合、費用を損金として経費で処理できる場合があります。

    会計・税務・法務の取扱いについては、当社が保証するものではありません。貴社にて、専門家と協議の上判断してください

  • 重機を使用しない環境負荷の低い工法です。
  • 掘削除去や揚水に比べて、大幅にCO2削減可能です。
  • 科学的自然減衰(MNA:Monitored Natural Attenuation)を上手く利用することで、30~50%程度コスト削減できる場合があります。

デメリット

  • 掘削除去に比べると工期が長くなります。
  • バイオレメディエーションによって区域指定の解除をする場合、基本的に2年間モニタリングの実施が必要になります。

実 績

上場企業から行政が抱える汚染案件まで、多数の実績があります。